地主さんの賃貸不動産建築に当たって、まず考えて頂きたいのが「建築するしか選択肢はないのか?」という点です。
確かに賃貸不動産を建築すれば家賃収入が入り、相続税は節税できます。
しかし、収入を得る手段は他にもありますし、相続税を節税する手段もたくさんあります。
例えば、遊休地を売却して他の賃貸不動産を購入することも考えられます。
生命保険を利用したり、法人設立を利用する方法もあります。
「遊休地を売却してはどうですか?」と提案すると「先祖代々の土地なので売却する気はない」と回答する地主さんも見受けられます。
考え方は人それぞれですが、不動産賃貸に向かない土地で賃貸不動産を建築するのはとてもおススメできません。
それは例え家賃保証が付いていてもです。
「建築しなかった方が良かった・・・」と言われた地主さんは下記のようなケースです。(実例)
(賃貸利回りが低すぎて、資産価値が減少したケース)
Aさんは建築業者から家賃収入と相続税節税の提案を受け、時価1億円の土地に2億円の賃貸不動産を建築しました。
利回りは建物価格に対して7%、年1,400万円です。
建築費用2億円は全て借入で賄い、35年返済、金利2.5%。(年返済額860万円)
諸経費として年200万円、課税所得は1,800万円を超え、税率は55%。
便宜上、減価償却費と借入の元金返済は同等とする。
・ 毎年のキャッシュフロー(現金手残り)
区 分 | 現金収支 |
家賃収入 | 1,400万円 |
借入返済 | ▲860万円 |
諸経費 | ▲200万円 |
税 金 | ▲187万円 |
差引手残り | 153万円 |
税金を差し引くと年間153万円しか手元に残りません。
建物価格2億円から計算しても利回りは0.765%、土地価格も含めた3億円から計算すると利回りは0.51%となってしまいます。
これではいくら相続税が安くなっても投資として成り立ちません。
また相続税が安くなっても、相続後に相続人が困ります。
将来、家賃相場が下落したり、修繕費用がかかってくることを考えるととても良い計画とは言えません。
5年後Aさんが死亡し、相続人はこの賃貸不動産を不必要と判断。(利回りが低いため)
不動産業者に売却査定を依頼しました。
時価1億円の土地に2億円で建築した賃貸不動産。
築5年とはいえ、2億5,000万円以上の売却価格を希望していました。
さて不動産業者の査定額は・・・なんと1億7,500万円でした。
根拠は表面利回り8%として収益還元法により評価したとのこと。
売却して、借入を返済したらオシマイです。
はじめにあったはずの土地さえ残りません。
賃貸不動産を建築したために、土地を失う結果となりました。
代わりに手にしたのは170万円×5年=850万円の現金と相続税節税効果1,850万円です。(相続税率が最高の50%でした。)
どうですか?
それでも建築するしか道はありませんか?
上記のようなケースでは、
① 建築計画を見直し、収支を改善して建築する
② いっそ土地を売却してしまい、他の賃貸不動産を購入するなどほかの相続税対策を考える
などの改善が必要でした。
①については、相見積りを取る・優良業者に発注するなど改善が可能です。
テレビCMなどを多く打っている大企業ほど、価格が高い→利回りが低い傾向にあります。
土地をお持ちであれば表面利回り10%以上は十分に可能です。
税金についても、法人化により半分以下に減少させることができます。
では上記例で表面利回り10%、税率を20%(税率はもっと下げることも可能です。)で再計算すると下記のようになります。
区 分 | 現金収支 |
家賃収入 | 2,000万円 |
借入返済 | ▲860万円 |
諸経費 | ▲200万円 |
税 金 | ▲188万円 |
差引手残り | 752万円 |
手残り現金は150万円程→750万円程と5倍にアップしました。
毎年、これだけの差が出ますから10年、20年と考えれば差は明らかです。
不動産投資や相続対策で最も重要なことは事前計画です。
お早めにご相談下さい。
~ご料金~
簡易相談:無料
建築業者等との打ち合わせ同席:1日21,000円
建築計画や税金対策の改善:改善額の15.75%(完全成功報酬制)